<子どもとネット>「ラインいじめ」 使い方 ルール決めさせて
東京新聞2013年9月13日
スマートフォンなどの無料メールアプリ「LINE(ライン)」で、中高生の間に広がる「ラインいじめ」。クラスや部活などのグループでメッセージをやりとりする中で、一人だけ仲間外れにされるなどの嫌がらせがある。夏休み明けは、いじめが深刻化している場合も。ネットいじめに詳しい安川雅史さんに、現状と対策を聞いた。 (砂本紅年)
関東地方に住む高校一年生サエコさん(仮名)は、クラスの友人とラインをしている。今年五月ごろから、発言すると、ほかの子が全く違う話題を切り出し、明らかにサエコさんを無視した会話が続くようになった。
学校でも、無視されるように。ラインでのやりとりが話題になった時も、知らない内容ばかり。自分だけが入っていない新しいライングループがつくられていて、そこでみんな盛り上がっていることが分かった。
「ラインがつらい。でも、今やっているラインもやめると、本当に孤立してしまう」
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「自分だけ外されている」「強制退会させられた」-。安川雅史さんには今年に入り、「ラインはずし」に関する相談が急増した。ラインでは、グループのメンバーを勝手に退会させることができる。昨年十一月、運営会社によって、誰が退会させたか分かるよう対策が講じられた後は、一人だけ除いて、別のグループがつくられるケースが増えたという。
相談は中高生からが九割以上。中でも高校一、二年生が多い。メッセージを読んでもすぐに返信をしない「既読無視」や、空気を読んでいない発言、空気を読んでいないスタンプ-などがきっかけになることも。
「今のいじめの風潮は、一対一ではなく集団対一人。一対一でやりとりするメールと違って、ラインはいじめにぴったりのツール」と、安川雅史さん(47)。あえてからかいやすい子をグループに入れる場合もある。
ラインは常につながっているため、学校での気詰まりが帰宅しても、不登校になっても続く。夏休み中でも続き、休みを境に学校での人間関係が変わっていることも。
ラインを禁止している学校もあるが、「子どもたちは隠れてもやる。禁止していると、逆にトラブルが起きた時に先生に相談しにくくなる。安易な禁止で、問題解決を図ろうとするのは大間違い」と安川さん。
ラインをきっかけにしたトラブルに巻き込まれないよう、まずは基本設定を。メンバーが多ければ、その分トラブルも増える。電話帳に登録している人を自動的に「友だち」に追加したり、自分のIDがほかのユーザーから検索されたりする設定をオフにして、本当に仲のいい子だけでするようにさせたい。
誰かが新しいスタンプを使い始めると、ほかの子も影響を受けがち。課金が増えるので、「みんなで無料スタンプだけ使おうね」と約束させる。「ご飯の時はしない」「勉強の邪魔をしない」-など、友達と話し合ってルールを決めさせることも必要だ。
<LINE> 無料でメールや通話ができるアプリ。電話帳データを使用できる設定にすると、電話帳に登録された人の中から同じアプリを使う人を探してやりとりできる。感情を表すイラスト「スタンプ」で、ニュアンスを伝えやすい。
運営会社によると、「既読」表示は、東日本大震災後、すぐに返信できない災害時の安否確認にも役立つとして設けられた。アプリは全世界で利用されているが、日本以外では、いじめに使われているという報告はないという。
<子どもとネット>トラブル防ぐには フィルタリング 親の責務
東京新聞2013年8月30日
性犯罪や詐欺などの被害、いじめ…。インターネットは使い方によって、思いも寄らないトラブルを引き寄せる。親はどうすれば子どもを守ることができるのか。 (砂本紅年)
「ネットのトラブル対策について、親が『知らない』では済まされない時代」。ヤフーなどIT企業と研究者らでつくる「子どもたちのインターネット利用について考える研究会」(東京都港区)の高橋大洋さん(46)は強調する。「その最低ラインの備えがフィルタリングです」
出会い系サイトなど有害情報へのアクセスを制限する「フィルタリング」は五年前、ネット接続会社や携帯電話会社に対し、子どものパソコンや携帯電話に提供するよう法律で義務付けられた。
ただ、利用率は小中学生で七割前後、高校生で五割台と伸び悩んでいる。フィルタリングは保護者が不要と判断すれば解除できる。「子どもを信用している」「必要なサイトにアクセスできない」-などの理由で、解除する人が多いようだ。
警察庁の調べでは、ネット犯罪の被害に遭った子どものほとんどがフィルタリング未加入だった。特にスマートフォン(スマホ)は、無線LAN(構内情報通信網)やアプリのフィルタリング設定など、自分で設定しなければならず、「面倒」「よく分からない」という親も少なくない。スマホの普及が進めば、フィルタリングの利用率はさらに低下するとみられている。チェックリスト=表参照=などを活用し、安全対策に漏れがないか確認しよう。
「必要なサイトだけつながるようカスタマイズできることがあまり知られていないのでは」と高橋さん。機種によって設定が違うため、子どもの言うがままにならずに店頭で確認したい。携帯電話以外にも、ゲーム機、ポータブル音楽プレーヤー、おもちゃタブレットなど、ネットにつながる家電は増えている。購入ごとに確認と設定が必要だ。
◆書き込み「消す」のは困難 リスクを教えて
フィルタリングをしても、子ども自身の書き込みからトラブルが起きることも多い。
ネット問題に詳しい安川雅史さんによると、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)でパスワードをかけていたのに解読され、プライベート画像や個人情報があっという間にネット上に拡散された-という事例が後を絶たないという。
掲示板の管理者やプロバイダーに削除を依頼できるが、「いったんネット上に出ると、消してもいつ復活するか分からない」と一般社団法人全国ICTカウンセラー協会代表理事の安川雅史さん(47)。就職活動の際、高校時代の掲示板に他人から書き込まれた内容がひどかったため、採用が取り消しになったケースもあるという。
書き込みや画像のリスクについては、大人が教えるしかない。不正アプリの見分け方なども、日ごろから言い聞かせておく。安川さんは「トラブルに巻き込まれる子どもに共通しているのは、親や先生の無関心。自分の子どもだけは大丈夫、というのは甘い」と警鐘を鳴らしている。
<LINE>「突然仲間外れ」子供トラブル相談急増
2013年8月19日(月)毎日新聞
無料通話アプリ「LINE(ライン)」を使った子供同士のトラブルやいじめが深刻化している。メンバーから知らないうちに除外され、突然「仲間」とつながりが断たれたり、グループに入れてもらえなかったりする「LINE外し」などの事例が各地で頻発。悪口やいたずら写真の公開などと合わせ、トラブル相談件数が急増しているといい、情報モラルについての教育が急務になっている。【岡礼子】
無料通話アプリ「LINE(ライン)」を使った子供同士のトラブルやいじめが深刻化している。メンバーから知らないうちに除外され、突然「仲間」とつながりが断たれたり、グループに入れてもらえなかったりする「LINE外し」などの事例が各地で頻発。悪口やいたずら写真の公開などと合わせ、トラブル相談件数が急増しているといい、情報モラルについての教育が急務になっている。公立中学ではクラスの女子生徒全員で作ったグループから1人だけを外したり、LINEを使っていない生徒を日常生活でも仲間外れにしたりするケースがあった。別の中学では今年初め、男子生徒が同校の女子生徒の顔写真に自分の裸の写真を合成してLINEで公開。女子生徒はショックで一時不登校になったという。一般社団法人全国ICTカウンセラー協会の安川雅史理事長は「昨年は月に1、2件だった相談が今年になって10倍ぐらいに増えている」と危機感を募らせる。
ネット依存の子どもたち<上> 「つながり」に縛られ
東京新聞2013年8月15日
「スマホを持たせたのは間違いだったのでは…」。東京都練馬区の母親(45)は、中学二年生の長男(13)のスマートフォン(スマホ)の使い方に、頭を悩ませている。
長男の部活の連絡は、複数の会員が同時にメールできるスマホの無料メールアプリ「ライン」経由。「ラインにつながらないと、明日の集合時間も分からない」と言われ、昨夏、スマホを買い与えた。夏休みになると、徹夜で友人と「ライン」漬け。「寝る時間を割いてまで、友達とつながらなくていい」と、何度も没収した。
家では居間からスマホを持ち出さないルールだが、ラインのグループは五つあり、ほぼ一分ごとに着信音が鳴る。そのたびに息子は「早く返信しなきゃ」。母親は「家族で和む時間をスマホに侵食されているようだ」と嘆く。
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「今の中高生は常に携帯電話に神経をとがらせていないといけない。かなり疲れている」。ネット依存予防に取り組む任意団体「エンジェルアイズ」(練馬区)代表の遠藤美季さん(52)は話す。
内閣府の調査では、携帯電話は中学生が半数、高校生がほぼ全員が持っている。うちスマホは中学生で四分の一、高校生で半数以上。中でも人気の「ライン」は連絡手段として「インフラ化」しているといっても過言ではない。
時差がなく、感情を表すイラスト画像でニュアンスを伝えられる。グループでのやりとりがしやすいことから、利用者が一気に広がった。
一方で、遠藤さんのもとには昨年、中学生を中心に相談件数が急増。ある中三男子は「毎日、徹夜でラインをするので、学校で注目され、期待されていると感じる。やめたいが、一人だけ抜けられない」と、睡眠不足に悩まされていた。「子どもはどこかに属し、誰かとつながることで安心感を得ている。無駄な時間と分かっていても、続けざるを得ないようだ」と遠藤さん。
ネット問題に詳しい安川雅史さんにも相談が急増。一人だけラインのグループから外されるいじめが横行している。メッセージを読んだことは相手に分かるので、素早い返信がプレッシャーに。返信しないと、学校で無視された、嫌がらせを受けた、という相談もある。
このため、食事中や勉強中もスマホを手放さない子や、授業中にノートに隠して続ける子も。授業後は充電のため、教室のコンセントが取り合いになる学校もあるという。
メール依存に詳しい千葉大大学院の藤川大祐教授によると、送信数が多い子ほどストレスが大きく、「親との会話がない」「勉強に自信がない」などの問題を抱える傾向にある。藤川教授は「ラインは、メールより依存的になる可能性が高い。家庭でのルールづくりが不可欠」と話す。
◇ ◇
一日に発表された厚生労働省研究班の調査結果で、ネット依存を強く疑われる中高生は全国で8・1%に上り、約五十一万八千人と推計された。子どものネットや携帯電話の利用時間が長くなる夏休み。現状と対策を考える。 (この企画は砂本紅年が担当します)
ネット依存の子どもたち<下> 絶対悪視は逆効果
東京新聞2013年8月17日
「依存はよくないと思うが、あの時逃げ場がなかったら、もっとつらかったと思う」
東京都内の家事手伝いの女性(24)は、オンラインゲームに依存していた中学、高校時代を振り返る。
小学生の時は、友達と一緒にテレビゲーム機で遊ぶのが好きだった。仲のいい友達が中学受験で遊べなくなり、六年生の時、ネット上のチャットで知り合った人たちとオンラインゲームを始めた。
「一人でやるゲームは面白くないし、すぐ飽きるが、大勢でやるゲームは楽しい。暇さえあればやっていた」
中学で男子にいじめられ、本格的にはまり込むように。ネット上のゲーム仲間が熱心に身の上話を聞いてくれて、「そっちの世界の人の方が大切になってきた」。不登校になり、朝八時までゲーム漬け、夕方五時に起きてゲームをする、という昼夜逆転生活が四年間。その間、ほとんど外出しなかった。
脱却のきっかけは、高校のカウンセラーに勧められ、高三で通信制サポート校に転学したこと。自由な気風が合った。通うのが楽しくなり、ゲームから離れられるように。「人間関係の変化で、自分の居場所が現実の世界に戻った」
女性は「ただ楽しいだけでは、それほどはまらないのでは。いじめや家庭環境など、依存には何か理由があると思う」。女性の場合は、いじめが大きかったが、両親の不仲による孤独感も影響したと思っている。
「ネットゲームを絶対悪として突き放すのは、逃げ場にしている子にとっては逆効果。親もゲームに少し興味を持ってみて、大事な話はカウンセラーや医者など第三者にしてもらうといい」
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五月末、横浜市内で開かれたネット依存の国際ワークショップ。各国の研究者が登壇し、スマホ依存の急増などが報告された。
依存者の家庭環境についての言及もあり、韓国の研究者は「十歳までにネットを始めた若者や、ひとり親、共働き世帯の若者が依存しやすい」と報告。ラインやフェイスブックの普及率が高いタイの研究者も「親が都会に出稼ぎに出て、親戚のもとで過ごしている子や、仕事中毒の親を持つ子に依存傾向が強い。家族が十分機能していない」と話した。
依存は、自らの行動に「報酬」があることによって進む。東京大大学院の橋元良明教授によると、ネットゲームやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)依存による「報酬」は、他人からの尊敬や承認、孤独の癒やし。家族関係や友人関係で、寂しさや自分が認められていないという不満があると、のめり込みやすい。「子どもの心を読み取るサポートが必要だ」
子どもとネット問題に詳しい安川雅史さん(47)は「スマホやネットに時間を割かれ、親子のきずなをつくりづらくなるのが一番の問題」と指摘。「時間制限やパスワード管理はもちろん、親子の会話を大切にして、明るい家庭環境をつくることが大事」と強調している。
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ネット問題の専門家であるネットいじめの専門家の安川雅史氏と東北大学教授の川島隆太氏の監修によるパンフレット。ネット依存やネットいじめなどの事例によりインターネット利用の危険性を示すとともに次の3つの対策について周知啓発します。