安川雅史が解説する子どもの暴言の受け止め方
愛情のこもった言葉というのは、必ず子どもの心の中に溜まってきます。すると、突然言葉が出てきます。数年間話をしなかった子どもでも、突然出てくるのです。お母さんがソファに座ってテレビを見ているときでも、「てめえのせいでこうなったんだろう。おれはもう一生、学校なんて行かねえからな」「母さん、あのとき、あんなこと言ったから、こうなったんでしょう。どうしてくれるのさ。あのころに戻してよ」「おれ、もう一生働かないからな。母さんたち、おれの面倒を一生見ろよ」と、親が耳をふさぎたくなるような暴言が出てきます。そうすると、今までソファに座ってテレビをみていたのに、急に立ちあがって洗濯しなきゃと洗濯を始めたり、掃除を始めたり、ウロウロ状態。そうすると、子どもからは、「おい、聞いているのか、このやろう!」という言葉が出てきます。立ったままの状態というのは、けんか状態なのです。心を落ち着かせるために、いったん座らせなければならないのです。それなのに、お母さんがほかのことをやっているから子どもの怒りはどんどん増してきます。5回も6回も同じことを繰り返して怒鳴る。それが3時間も4時間も続き、しまいには夜中に親の枕元に来て朝方まで暴言を吐くようになり親の方が精神的に参ってしまいます。では、どうすればいいのか。簡単です。子どもがワッと言ってきたとき、まずは子どもを座らせてから相談に乗る、これが基本です。学校でも、生徒が相談に乗ってと来たとき、相談室や保健室で相談に乗った場合、子どもは安心して相談します。空間というのは大切です。ちゃんと相談に適した場所で乗ってあげる。これがまずポイントの1つです。
さらに、相談に乗る時間設定というのはとても大切です。時間設定をしないと、不安定な子どもの相談は話が終わらないでしょう。こういうケースがありました。「先生、相談に乗って」と生徒が来て、その相談が終わらないのです。もう6時半を回っています。ほかの先生方はとっくに帰っています。すると、7時までに終われるかな?と先生は時計を気にするのです。子どもは敏感ですから、時計をチラッと見ただけで、「先生、時間がないの?」と言ってきます。
さらに、職員室でケータイを出してメールしている先生が結構います。生徒はよく見ていますから、「先生、新しいケータイ買ったんでしょう。あ、そうだ、私、ケータイ持ってきているんだよね。ほかの先生に内緒にしていてね」とケータイを出して、「あ、そうそう。先生メルアドと電話番号教えて。何かあったら、先生に相談したいから」と言われて生徒に簡単に電話番号やメールアドレスを教える。自宅に帰って、ウトウトして寝ようとした頃に、生徒から「先生、寝られないの。てかね、今ね、手首切ってみたんだ。これってどれぐらい血が出たら死ねるのかな。なんか私もう生きていてもしようがないから、最後に先生の声を聞こうと思ってさ、電話かけたんだよね」と電話がある。そこで電話を切って、自殺されたら責任問題になってしまうと思って、朝方まで相談に乗る。すると、第2弾があります。「先生、ありがとう、この間は遅くまで。よかった私、先生の生徒でさ。そうだ。今日さ、映画の券を2枚持ってきたんだ。先生の分も。この間のお礼だよ。先生、日曜日一緒に映画に行こうね。ほかの子に内緒にしてね。先生の車の助手席に乗せて。私さ、先生の車に一度乗ってみたかったのよね」と。そこで断わって、また自殺未遂をされたら困ると思って、日曜日、車に乗せて映画に行く。はっきり言って、この段階でもう先生と生徒の関係ではありません。教師の枠を完全に踏み外しています。
さらに、不安定な子どもというのは、今度は学校でほかの生徒がその先生と話しているのを見ているだけで不安定になるのです。「何を話しているんだろう。私の先生と」そうすると、今度は昼休みに職員室に来て、「先生、カッター貸して」「何切るの?」「すぐ終わるから、切ったらすぐ返すから、それ貸して」と言って、その借りたカッターでトイレの個室にこもって、手首を切って自殺未遂を図った子どもがいます。すぐ救急車が呼ばれました。一歩間違えれば、本当に死んでしまうような傷跡です。一生傷は消えないでしょう。命は大丈夫でした。その先生は、自分は生徒のために一生懸命やったと言い張っていましたが、方向性が違います。生徒のためにならない一生懸命です。学校として、やってはいけない行為です。まず、生徒の相談は極力学校内で時間設定してすべきです。先生というのは、一人の担任ではありません。一人の面倒を見れば、自分の責任を果たしているとは言えないのです。不安定な子どもの相談に1日乗ってしまって、「ああ、今日も一生懸命仕事をした」これは、違います。一人の子に充てる時間を必ず設定してください。生徒の相談に乗るときは50分以内です。生徒が集中できる時間は50分までだからです。終わりの時間が分かっていなければ、人間は集中しません。時間設定をするということは、生徒のためでもあり、自分のためでもあるのです。子どもには、その時間内に自分の思っていることを相手に伝えるという訓練をさせていく必要もあるわけです。さらに、先生方は生徒の相談にのるとき、一生懸命メモしながら話を聞きます。メモは必要ないのです。メモすることによって、人間はまったく感動も、相手の気持ちも分からなくなるのです。子どもというのは、一番訴えかけているのは表情です。人間は、顔と顔を見合わせるのが基本です。だから、メモは極力とらない方がいいのです。みなさん、ボールペンを普段どおり置いてみてください。ボールペンの先を前の人に向けていませんか?自分の方に向いていればいいです。ボールペンの先というのは、凶器です。不安定な子どもには絶対とがったものを向けてはいけないのです。とがった物は必ず意識的に自分の方向に向けるようにしてください。しかも、カチャッと閉じられる場合は、芯をいったん閉じてから。キャップがある場合は、キャップを閉めてから自分の方に向ける癖をつけてください。学校の先生方の中には、メモはしないけれども、チョークを握ることに慣れているから、なんか握っていないと不安で、「うん、言っていることは分かるんだけどね」と生徒の前でボールペンを振り回すのです。これは子どもにとって、とても怖い行為です。ボールペンを持っている必要はありません。置いて話を聞く。これは基本です。
さらに、話をするとき、先生方はだいたい生徒の正面に座ります。教室で相談に乗る先生ほど、生徒の正面に座って、「どうしたの?」と話を聞くのです。人間は至近距離になると、必ず不安定になります。特に不安定な子の相談にのるときは、絶対に正面に座ってはいけません。机が小さければ小さいほど正面に座られると不安定になります。ほんの少しだけ対角線の距離をとってください。すごく楽になりますから。できれば、相手を左前に座らせ、左半分の顔を見てあげます。本音を聞きたいときは左耳に話しかけた方がいいです。左半分は右脳が支配していますから、右脳に話しかけていることになります。イメージでとらえていく右脳に話しかけると、人間は本音が出てきます。逆に左脳に話しかけると理論的に考え始めますから、自分にとって、不都合なことは隠す傾向が出てくるのです。だから、不安定な子と話をするときは、必ず対角線をとって、相手を左前に座らせて話をするように心がけてください。生徒の声が小さくて聞こえない時は、聞こえる距離に移動してあげればいいのです。声が小さくて聞こえないような不安定な子どもの場合は、相手の左横にそっと座ってあげればいいのです。
また、相手をじっと見つめるということは、相手を追い詰めているのです。不安定な子を凝視してはいけないのです。目を見るのは基本ですが、子どものまばたきが多くなり、目がキョロキョロし始めたら、子どもはもう限界にきています。いったん先生のほうから、顔ごと視線を逸らしてください。これが基本です。そうすると、子どもは安心するのです。さらに、うなずかない先生に子どもは話しづらいと言います。ただ単に、首が揺れているだけではうなずいているとは言いません。大げさなぐらい大きく、子どもの話に合わせてしっかりうなずく。これが基本です。それから、話を聞くときの姿勢です。生徒の前で話をするとき、足を組んだり、腕を組んだり、ふんぞり返ったりしています。これは聞く姿勢をとっていない、あなたの話をいいかげんに聞いていますよと、子どもに暴露しているみたいなものです。皆さん、大好きな芸能人を一人、思い浮かべてください。その人がテレビに出ているとき、皆さんは、目だけではなく、体ごと乗り出しているはずです。この姿勢をとられたとき、人間は非常に心を開き、本当に受け入れてもらっている気持ちになります。子どもの話を聞くときは、意識的に一歩前に出ることです。それだけで全然違ってくるのです。さらに、相談に乗るときも大切ですが、終わったときも大切です。いすに座って生徒の顔も見ないで、メモをとりながら「じゃあね」と言う先生と、ドアまで一緒に歩いていってくれる先生。皆さん、どちらの先生を選びますか。生徒と一緒に立ち上がって、一緒にドアまで歩いて行く、たかが30秒、40秒かもしれません。その30秒、40秒で人間の信頼関係というのは決まってきます。私は、子どもの名前を何回も連呼します。必ず、その子の名前で呼びかけます。1回呼べばいいのではなくて、何回も呼びかけます。子どもは名前を呼ばれれば呼ばれるほど、自分のことを気にしてくれているという気持ちになってきます。生徒の中には自分の名前が大嫌いで、名前では絶対呼ばないでという生徒もいます。そういう場合は名字で呼ぶなど、その子が呼んでほしい呼び方をします。あなた、きみ、おまえという言い方だけは絶対しないように心がけています。
みなさんは1週間前の夕食の献立を覚えていますか?1週間前、何を食べたか覚えてなくて当然ですね。人間なんですから、忘れてもいいのです。食べたときおいしければいいのです。食べながら記録を書いていても、記憶というのはよみがえってきません。しかし、食べ終わったあと、素直な感想を残しておくと、そのメモを読み返すだけで、料理の味や食卓の様子までよみがえってくるのです。相談に乗り、子どもが帰った直後というのは、その子の表情も含めて全部頭に残っています。それを感じたままにメモで残しておけばいいのです。一度生徒と信頼関係ができると、「先生、また相談に乗って」と必ず来ます。そのときは、「今日は先生、何時から時間とっているからね。それからお話ししようね」と約束する。その間に読み返しておくと、前回の内容がよみがえってきます。その子にすれば、「こんなことまで覚えていてくれているんだ。先生にだったら、こういうことも話そうかな」と思うわけです。学校とは違い家庭で子どもと話をするときは、時間設定は必要ありませんが子どもの話しを聞くときの姿勢は先ほど述べた学校での生徒対応と同じです。子どもが暴言を言っているときは、必ず親が困るようなことを言ってきます。子どもを一番納得させる方法は、しっかり悪いことは悪いと謝ることです。「あなたの気持ちを理解してあげられなくてごめんね。ほんとうにお母さん、反省しているから」と。しかし、「あなたも悪いのよ」とか、「だって、お母さん、あのときね…」と自己弁護が入ったりすると、子どもの暴言は止まりません。カーッとなると、親が絶対できないことをあえて言って困らせることがありますが、これは、「俺がこんなに困っている。ここまで悩んでいた気持ちを分かってよ」と言う子どもの叫びです。わざと親ができないことを言っているのに、親がそのとおりにしてしまうから、子どもの怒りが爆発してしまうのです。言うとおりにしたから暴言が止まるなど、間違いです。結局、子どもの前で土下座して謝ったとしても、親は頭を踏んづけられて、そこから家庭内暴力につながっていきます。親ができないようなことを言ってきたときは、子どもに伝わるように心を込めて何度も謝ることです。家庭の中では、それで暴言は止まります。
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ネット問題の専門家であるネットいじめの専門家の安川雅史氏と東北大学教授の川島隆太氏の監修によるパンフレット。ネット依存やネットいじめなどの事例によりインターネット利用の危険性を示すとともに次の3つの対策について周知啓発します。