児童・生徒の相談に乗る上での留意点
全国ICTカウンセラー協会
安川雅史
生徒から相談を受けた際、教室で話を聞いてしまう先生がいますが、出来るだけ相談室など落ち着いて話が出来る場所に移動してください。教室など誰でも出入りが自由な場所だと集中して話が出来ません。例えば、廊下で話し声がしただけでも気になってしまう生徒もいます。更に広い教室にふたりきりだと周りの空間が気になって落ち着きません。また、教室にある木製の椅子は集中力を持続させる効果はありますが、相談にのるときの椅子には適していません。ソファーなどの柔らかい椅子に座ったほうが、リラックスでき、本音で語りやすいのです。また、机を挟んで先生と生徒が対面して座ることも避けたほうがいいです。人間はあまりにも至近距離で対面すると、相手の目を見られなくなってしまうものです。悩みを抱えた生徒であれば、なおさらです。中には、足を組んだり、腕を組んだり、ふんぞりかえって話を聞く先生もいますが、このような態度を目の前にして、生徒は、本音を打ち明けたりしません。生徒の話を聴くときは、足を組んだり、腕を組んだりせずに多少前かがみになって話を聴くように心がけてください。また、正面に向き合って座るよりも、生徒を対角線の左前に座らせて話をするとよいでしょう。人間の左半身は右脳が支配しています。反対に、右半身は左脳が支配しています。左脳に話しかけると理論的に考えてしまい、自分に都合が悪いことは隠す傾向が強いので、対角線の左前に生徒を座らせ話を聴くのは有効な手段であるといえます。また、左耳から入ってくる情報は、人の感情に響きやすいと言えるのです。
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生徒の相談に乗るときに時間設定をしないで相談にのる先生がいますが、不安定な生徒の相談にのると話がいつまでたっても終わらないことがあります。時間を設定し、時間内に頭の中で話をまとめて相手に伝える能力を身につけさせることも大切です。生徒が集中して話ができる30分から50分程度で相談時間を設定することも大切です。また相談中は極力ペンを置き、生徒の目を見て話を聴いてください。メモばかり取られていると警察に調書を取られている感覚になってしまいます。またペンを置くときも、ペン先は絶対に生徒のほうに向けずに自分のほうに向けて置いてください。相談が終わった後も、椅子に座ったまま生徒を見送るのではなく、生徒と一緒に立ち上がり、ドアまで一緒に歩きながら生徒がドアを出るまで見送ってあげてください。
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生徒の相談に乗るときは必ず座って話をしてください。立ったままの状態で話を聞くことは絶対にしてはいけません。立ったままの状態は喧嘩状態なので生徒の不安を大きくしてしまいます。座って生徒と視線を合わせて話をしてください。ただし、生徒の目をじっと凝視してしまうと、生徒を精神的に追い詰めてしまいますので、生徒の目が、泳ぎ始めたり、瞬きが多くなってきたら、先生のほうから、そっと下を向いて一度視線をそらして、また生徒を見るように心がけてください。生徒の話を聴くときは、大きく頷きながら話を聴く事が大切です。大勢の前で話をしたことがある人ならわかると思いますが、話をしているときに聴衆が頷いてくれるだけで、かなり話しやすくなるはずです。ただし、むやみやたらに頷けばいいというものではありません。半分うわの空で相槌を打っていても、生徒との信頼関係はできないので生徒に安心感を与えたり、本音を聞きだすことはできないでしょう。
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加害者に対しての対応で、注意しなければならないことは、しっかり相手の性格を考えて対応しなければならないという点です。今まで先生から叱られた経験が無い子が、面白半分でネットに書き込みをし、学校側は、その子に対して、担任、学年主任、生徒指導部長が厳重注意をして、生徒が思いつめて命を絶ってしまったことがあります。取り返しがつかないことになる前に生徒の性格をしっかり考えた対応が学校側には求められてます。また、被害者の生徒の言葉を一方的に信じるのではなく、加害者と思われる生徒の話にも真剣に耳を傾ける必要があります。怒鳴ったり、威圧することは教育ではありません。本当にまずいことをしたと気付かせることが大切です。例えば、掲示板の誹謗中傷などに関しても、怒鳴られて恐怖から、ページを閉鎖したり、書き込みを削除した場合、今度は先生方に見つからないようにパスワードを設けたり、海外のサーバーを使い日本の警察や法律が介入できない書き込みをしたりしてしまいます。間違った対応をすると、ネットいじめが余計に先生方の目の届かないところで行われてしまうのです。場合によっては、生徒が命を落とすこともあり得るのです。
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生徒の相談にのる上での手順
1.リレーションをつくる
・この先生は信頼できると思わせる(非言語的態度、言葉、表情)
・生徒の言っていることをしっかり理解してあげる(生徒の身になって考える。まずい書き込みで、相談があった場合、「見るんじゃない、ほっておいなさい」など無責任なことを言ってはいけない。まずは、問題の書きこみを先生も見て、書き込みをされた生徒の立場になって考えなければなりません。
2.問題の核心をつかむ
3.適切な処置をする(その子の性格的なものも考えて対応する)
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生徒の相談にのる上での注意点
1.時間制限
いつまでもだらだら話をさせるのではなく、時間内でまとめて話をさせることが大切。
2.愛情制限
親身になって相談に乗ってくれる相手に恋愛感情が芽生えることがある。個人的接触がすぎると教師側の私的世界がわかりすぎて、児童生徒の自己表現を阻止することがある。
■いじめがわかったときの学校での対応
1.お昼休みは生徒と一緒に食事を取り、教室でお昼休みを過ごす
2.掃除は生徒と一緒にやる
3.担任1人で抱え込まず、校長・教頭・学年主任・養護教諭・スクールカウンセラーともよく相談する
4.養護教諭や担任など、いじめられてる本人が相談しやすい雰囲気づくりをする
5.生徒達とは、折りに触れ1人1人と十分な話し合いを行う
6.アンケートを1ヶ月に1回は実施し、友人関係やいじめの有無の理解につとめる。生徒だけでなく、保護者にもアンケートをとるのが望ましい
7.「いじめがいかにひどいことか」という授業を月1回は行う。または、専門家を招いての授業を行う。生徒達に人間として許されない行為であることを自覚させる
8.教師が仲介役になり、いじめられた子どもの保護者と協力し、いじめた側の子どもの保護者と十分な話し合いの機会を設ける
9.いじめられている生徒には「先生は、あなたの味方である」としっかり伝える
10.生徒の逃げ場をしっかり確保する。保健室・相談室・職員室等・・・。生徒が萎縮して入りづらい雰囲気があってはいけない
全国ICTカウンセラー協会
安川雅史
■いじめ、不登校など、子どもたちへの対応で迷った時は、全国webカウンセリング協議会に相談してください。全国webカウンセリング協議会では、あらゆるいじめのケースの相談にのり、いじめ問題解決のお手伝いをしています。また全国webカウンセリング協議会では、不登校に関しても、家庭環境や子どもの性格などあらゆる方向から分析して、子どもに取って一番良いと思われる方法で登校に導きます。
東京都中央区日本橋大伝馬13-7日本橋大富ビル2階
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安川雅史の教育に対する考え方
プレッシャーをかける教育者
全国ICTカウンセラー協会
安川雅史
ノルマという形で生徒にプレッシャーをかける教師もいますが、そういったことは避けるべきだと思います。以下に、私が以前勤務していた高校で行った事例を紹介します。
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事例2 ノルマを課すことは子どもに無用のプレッシャーをかける
ある時、毎回、英語のテストで90点以上を取る2人の生徒、A君とB君にノルマを課した。その内容は、「テストでA君は95点、B君は60点以上を取るように」というものだった。そして実験のために行ったテストの結果を見てみると、A君が85点、B君が96点という成績だった。さらに同じ条件で別の生徒2人に対しても同様のことを行ったところ、高いノルマを与えられたC君は81点、低いノルマを与えられたD君は92点という結果を得ることができた。もちろん、このような状況では、個々の生徒の心理状態や性格などが影響することも考えなくてはなりません。しかし、ノルマ(強制された約束)といったものが、子どもの心を縛ってしまうということも、この実験から分かっていただけると思います。よくあるたとえですが、地面の上に幅50センチメートルの板を置いた場合では、人は簡単に歩くことができるのに、ビルとビルの屋上の間に同じ板を渡して、その上を歩けといわれても、震えてしまって歩くことができないものなのです。教師の役目は、生徒の実力が十分発揮されるような環境を作っていくことです。恐怖心や不安感といったものを植え付け、生徒の心にストップをかけてしまってはなりません。ノルマを課して達成できなかったら罰を与える、といったことは、あるべき方針のまったく逆のことといっていいでしょう。
子どもの心理
教師が生徒と話をする際の生徒の態度やしぐさを観察することも重要なことです。なぜならそれらが生徒の性格や精神状態を表しているといえるからです。たとえば、教師の目をまったく見ない生徒の場合、内向的・非社交的であり、自分に強いコンプレックスを持っており、「対人恐怖症」、「赤面恐怖症」、「視線恐怖症」などに悩んでいることも考えられます。このような生徒は、自分がどのように思われているかを気にしすぎるため、視線を合わせることができないのです。また、話の途中で視線をそらしたり、横を向いたりする生徒の場合は、教師が子どもの嫌がる話題をしている可能性が高いと言えます。また、本心を見ぬかれたくないため、話題を変えてほしいという気持ちが表れていることもあります。さらに、指先をよく動かしたり、貧乏ゆすりのようなしぐさが加わったり、(腕)時計を何気なく見る回数が増えたりした場合は、話を早く切り上げてほしいという気持ちの表れで、子どもはイライラしているのです。場合によっては、まばたきの回数が極端に多い生徒もいます。これは教師を拒絶しているサインと受け止めていいでしょう。まばたきを多くする生徒には気の弱い子どもに多く、教師に対しての恐れの感情が強いため、無意識にまばたきすることによって教師を見る時間を少なくしているのです。生徒の中には、話の間中、背筋をピッと伸ばした姿勢をとり続け、受け答えもハキハキしている生徒もいます。そのような生徒は、真面目過ぎて、うまく人間関係を作れない子だったり、あるいは少年院・児童自立支援施設に入っていた子に多く、教師との間に無意識に壁を作っていると見ていいでしょう。他方で、むやみやたらと相づちを打つ生徒に遭遇することもあります。こういう場合、生徒は話の内容が分かっていないことが多く、頷いていても視線があちこち動いている場合は、教師の話に共感してないか、話に退屈している、または話をまったく聞いていない場合が多いと言えます。 このように、生徒と向かい合って話をしていく中で、生徒がどんな性格の持ち主なのか、また、どのようなことを考えているのかということが、言葉以外からも察することができるのです。教師は、こういった知識も頭の中に入れ、子どもと接する努力をするべきでしょう。最後に、子どもの豊かな発想に気がつかなかった教師の話を紹介してみたいと思います。
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事例3 子どもの豊かな感性を見逃してはいけない
小学1年の小桧山孝雄(仮名)は、とても活発な子どもだったが、周りの子どもとはかなり違っていた。父母参観日のこと。新任の担任女性教師は、傘地蔵の話を取り上げた。「おじいさんは、吹雪の日にお地蔵さんに傘をかぶせてあげました。お地蔵さんは、おじいさんに何て言ったでしょうか?」と先生が質問すると、みんな「はーい、はーい」といって元気に手を上げた。そこで、先生は孝雄を指名すると、彼は「もっときつく縛ってください」と答え、それに対して先生は一瞬沈黙しただけで、その後は何もなかったように別の子を指名した。「ありがとう」とほかの子が答えると、先生は「はい、そうですね。みなさん、拍手」と笑顔でいった。孝雄の答えは、先生から完全に無視されてしまったのだ。孝雄のイメージでは、吹雪で風が強かったので、きつく縛ってもらわなければせっかくかぶせてもらった傘が飛んでしまうと考えたのだ。しかし、若い担任教師の頭の中には、「ありがとう」と言う答えしかなかった。その数日後、図工の時間に生徒たちは自分の好きな絵を描くことになった。孝雄は、空を飛んでいるカラスを描いた。先生は、生徒たちの絵を1人ひとり見ながら巡回していた。孝雄の横に先生が来た時、「孝雄君、この赤い鳥は何の鳥?」と質問した。孝雄は、「カラスだよ、先生」と答えたのだが、先生はクレヨンを持ち、「孝雄君、カラスは黒いのよ」と言いながら、カラスを黒く塗りつぶしてしまった。先生の頭の中には、カラス=黒という凝り固まった考えしかなかったからだ。孝雄は、絵を家に持ちかえり、母親に見せると同時に涙があふれてきた。もし先生が「孝雄君、どうしてカラスが赤いのかな?」と質問すれば、「夕方、空を見ていたら、赤いカラスが飛んでいたよ」と答えていただろう。孝雄は、夕日で赤く映ったカラスを描いていたのだ。孝雄のように、子どもには独特の個性や感性の持ち主が多いものです。こういった子どもの豊かな感性を伸ばしていくことこそ、まさに教師の役目といってもいいでしょう。しかし、相手の言うことを受け入れ、理解しようという姿勢が欠落している教師であれば、子どもが持ち合わせている隠れた可能性を摘み取ってしまうことになります。子どものことをまずは受け入れて、子どもの立場になって考えてみる姿勢を持つことが必要なのは、ひきこもっている子どもを抱える親にも言えることです。いくら親子といっても、親と子どもはまったく別の人間。まずは、自分の考え方を尺度とせず、今の子どもをそのまま受け入れ、なぜ子どもが現在のような行動を取っているのか、どのような気持ちでいるのかを理解することが何よりも大切なことだという認識を持ってほしいのです。
結果至上主義の中で以上のように、いろいろな疑問点や解決策を示してきましたが、実際のところ「子どもの変化を発見しているどころじゃないよ。教科を教えるだけで精一杯!」という学校や教師が絶えないのが実情ではないでしょうか。しかし、学校というのは勉強だけを教えるところではありません。このように、「教科を教えるだけで精一杯」という教師の存在は、非常に憂慮すべき問題です。私は、教師というものは、本当に向いて人だけがなるべきものだと常に感じています。教師というのは聖職です。ただ単に仕事として教師をするのではなく、子どもが本当に好きで、子どもと一緒に成長しようという人が教師になるべきなのです。今の時代は、ただ単に勉強をするだけというのなら、インターネットや通信教育などの学習手段を使って、家の中にいても自由に勉強ができる時代です。しかし、家で勉強していたのでは、人間関係という生きていく上で欠かすことのできない事柄を学ぶことができません。生きていく中で、本当に心から信頼できる人が出来たり、愛する人を得ることができたりした時の喜びは計り知れないほど大きいものです。ですから、そういった人間関係の素晴らしさを教えることができる情熱のある教師こそが、今学校で求められているのではないでしょうか。そのような教師を増やすためにも、現在、中学校や高校にいる「教師たち」に対して、カウンセリング指導が必要だと言えます。専門の先生が各学校に行って、教師がカウンセリングを受けられるようにするのです。さまざまな生徒の事例をケーススタディーとして提示しながら、教師自身が勉強していくのです。教師自身にも学校内のことでいろいろな悩み事があることでしょう。しかし、同僚の教師に相談できないとか、相談しても良いアドバイスを受けることができず、自分1人で悩んでしまう場合も考えられます。もしくは、悩みを通り越して、もう子どもなど放っておけばいいというような自暴自棄的な考え方をしている教師もいるかもしれません。そんな時に、きちんとアドバイスをしてくれるカウンセラーがいてくれたら、教師も心強いはずです。学校教育の中で結果主義だけがはびこってしまうと、不登校やひきこもりといった子どもたちは“落伍者”として扱われてしまうというのが現在の状況です。そんな現状の中にあっても、心ある教師は、そうした子どもを救いたいと願い、それに努めますが、残念なことに結果至上主義がそれを許さないのです。こういった風潮をただすためには、現在の教育制度の根本を変えなくてはなりませんが、残念ながら一朝一夕に成し得るような簡単なことではありません。そうであれば、せめて“落伍者”とレッテルを貼られた生徒たちを救いたいと切に願っている心ある教師たちの悩みを救ってあげることのできるような制度の導入も必要なのではないでしょうか。
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ネット問題の専門家であるネットいじめの専門家の安川雅史氏と東北大学教授の川島隆太氏の監修によるパンフレット。ネット依存やネットいじめなどの事例によりインターネット利用の危険性を示すとともに次の3つの対策について周知啓発します。